本作の真髄は、絢爛豪華な宝塚歌劇のステージという夢の領域と、一人の女性として向き合う現実の愛欲が織りなす、残酷なまでのコントラストにあります。華やかなレビューシーンが放つ光彩が、皮肉にも登場人物たちの内面に潜む孤独や葛藤を鮮やかに浮かび上がらせ、観る者を陶酔と切なさの淵へと誘います。
池部良が体現する洗練された佇まいと、宝塚出身の有馬稲子が放つ本物のスター性が、虚構と現実の境界を曖昧にする圧倒的な説得力を生んでいます。芸道に生きる覚悟と、誰かの妻として生きる幸福の間で揺れ動く魂の叫びを、抒情的な映像美が鋭く包み込む、まさに日本映画黄金期の矜持を感じさせる名作です。