戦争という極限のシチュエーションを、冷徹な皮肉とナンセンスなユーモアで解体する本作は、ジャンルの枠を超えた快作です。タイトルが示す「ミスディレクション」の精神が全編に貫かれ、観客の予測を鮮やかに裏切り続ける構成が見事です。国家や大義といった重々しいテーマを、あえて矮小で滑稽な人間模様へと落とし込む手法は、戦争という営みの空虚さを鋭く突いています。
トーマス・グルーヴをはじめとするキャストが、狂気と平熱の間を行き来する絶妙なアンサンブルを披露しています。戦場という不条理な舞台で、真剣かつ噛み合わないやり取りを繰り広げる姿は、悲劇を喜劇へと昇華させる力強さに満ちています。演出がもたらす沈黙と爆発的な笑いの対比は、映像ならではのダイナミズムを感じさせ、観る者の価値観を揺さぶる一作と言えるでしょう。