渡世の義理で雷門一家を討った秀次郎は、客分重吉の左腕を斬り落とした。5年後、信州木曽で復讐の刃に傷ついた秀次郎を助けた芸妓は、重吉の妻だった……。悲しい宿命の男を描いた任侠ロマン。
本作は、極限まで抑圧された感情が血の美学へと昇華される任侠映画の至宝です。高倉健が体現する「耐え忍ぶ男」の美学は、不条理に抗う人間の尊厳を鋭く問いかけます。背負った唐獅子が白雪の中で鮮烈に映える様は、映像芸術としての極致であり、観る者の魂を震わせずにはいられません。 富司純子の気高い美しさと、義理と人情の狭間で揺れる情念のドラマには、現代人が失った高潔な精神性が宿っています。静寂が怒濤のカタルシスへと変貌する幕切れは、正に映画でしか味わえない至高の体験です。運命を背負い、死地へと歩む男の矜持をその目に焼き付けてください。
監督: マキノ雅弘
脚本: 山本英明 / 松本功
音楽: 菊池俊輔
撮影監督: Makoto Tsudoi
制作会社: Toei Company