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市川雷蔵が霧隠才蔵を演じる本作の魅力は、忍びを組織の歯車として生きる孤独なプロとして描くリアリズムにあります。モノクロの陰影が戦国の闇を際立たせ、若山富三郎演じる真田幸村との緊張感ある関係性が、忍び特有の非情な倫理観を浮き彫りにします。虚無感とプロフェッショナリズムが交錯する人間模様は、正に圧巻です。 特筆すべきは、雷蔵の無駄のない身体操作と知略を尽くした硬派な演出です。己を消して生きる者の悲哀が、一瞬の閃光のような美しさへと昇華されるカタルシスは映像芸術の極致。時代劇の枠を超え、現代にも通じる洗練された美学が息づく本作は、今こそ観るべき至高の人間ドラマをその魂で体感させてくれるはずです。
監督: 田中徳三
脚本: 高岩肇
音楽: 伊福部昭
制作: 伊藤武郎
撮影監督: 武田千吉郎
制作会社: Daiei Film