あらすじ
1938年4月、少女レギーナと母イエッテルはナチスの迫害を逃れるため、故郷のドイツを後にし、先にケニアに渡っていた父ヴァルターのいるロンガイの農場へとやってきた。ドイツでは弁護士をしていたヴァルターもここでは農場で働く一介の労働者。予想を超える過酷な生活に、お嬢様育ちのイエッテルは耐えられず弱音を吐いてばかり。一方ヴァルターは、欧州情勢の悪化に、残してきた父や妹の安否が不安でならない。そんな2人を尻目に、レギーナは料理人のオウアやケニアの子どもたちとすぐに仲良くなり、アフリカの大地でたくましく成長していく…。
作品考察・見どころ
本作は、運命に翻弄される家族の軌跡をケニアの圧倒的な映像美で描いた深遠な人間讃歌です。文明から孤立した大地が絶望を再生へ導く過程は、観る者の魂を激しく揺さぶります。特にユリアーネ・ケーラーが見せる、洗練された都会人から大地に根ざした女性への劇的な変貌は、まさに演技の真髄。言葉を超えた生命の輝きが全編に溢れています。
ステファニー・ツヴァイクの自伝を基にした本作は、映像の力で色彩と沈黙を記憶に吹き込みました。文字では捉えきれないアフリカの空気感や、瞳で交わす信頼の描写は映画ならではの表現です。失った故郷への郷愁と新たな地への愛が交錯する物語は、真の居場所とは何かを鋭く問いかけ、観る者の心に深い感動を刻みつけます。