60年代イタリア式コメディの芳醇な魅力が、四つの視点から鮮やかに描き出された傑作です。単なる艶笑劇の枠を超え、男女の滑稽な愛の形を通して当時の社会道徳を鋭く風刺する知的な演出が、今なお新鮮な驚きを与えてくれます。洗練された映像美のなかに、人間の欲望と可笑しみが凝縮された密度の高い一本と言えるでしょう。
とりわけフランカ・ラメをはじめとする名優たちの演技が圧巻です。喜劇としての軽快なテンポを維持しながらも、言葉の端々に人間の本質を突く痛烈なメッセージを忍ばせる表現力には、魂を揺さぶられるはずです。愛という不変のテーマを多角的に解体し、観客の心に深い余韻を残すその手腕は、正に映画表現の極致に他なりません。