2001年6月、ポルトガルの漁村に数百キロものコカインが漂着した。その一件が長期にわたって地域の住民たちに与えた影響を明らかにする、思わず引き込まれるドキュメンタリー。
本作が描くのは、静謐なアゾレス諸島の風景と、そこに突如流れ込んだ劇薬が引き起こす強烈な不協和音です。ドキュメンタリーの枠を超えた映像美は、自然と共生する日常が欲望に塗り替えられる様を冷徹かつ叙情的に映し出します。視覚的な美しさと背中合わせにある、人間の本質を剥き出しにする圧倒的な緊張感こそが本作の真骨頂です。 混沌が村の絆をどう変容させたのか。カメラは単なる記録を超え、貧困と希望、そして運命の残酷さを巡る深い問いを投げかけます。抗えない巨大な力に翻弄される人々の姿は、観る者の倫理観を激しく揺さぶり、スクリーンを越えて「もし自分ならどうするか」という切実な共鳴を呼び起こすことでしょう。
脚本: Marcos Nine
制作: Alfonso Blanco
制作会社: Portocabo Atlántico