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本作の最大の魅力は、英国流の切れ味鋭い風刺が効いた、洗練された政治コメディとしての完成度にあります。対立する政党の候補者同士が恋に落ちるという構図は、今も昔も変わらないイデオロギーの不毛さを軽やかに笑い飛ばし、政治という硬い題材を極上のエンターテインメントへと昇華させています。イアン・カーマイケルの絶妙な困惑の表情と、脇を固める役者たちの老獪な演技が、滑稽ながらも愛すべき人間模様を見事に描き出しています。 特筆すべきは、陣営の思惑や選挙戦の狂騒をよそに、個人の感情が理屈を超えて結びつく瞬間の高揚感です。映像ならではのテンポ良いカッティングと洒脱な会話劇が、教訓めいたメッセージを押し付けることなく、寛容さと対話の大切さを鮮やかに提示しています。主義主張の壁を越えた先に何が残るのか。観る者の心に、温かな希望と知的な笑いを届けてくれる珠玉の一本です。
監督: Sidney Gilliat
脚本: Sidney Gilliat / Val Valentine
音楽: Humphrey Searle
制作: Sidney Gilliat / Frank Launder
撮影監督: Gerald Gibbs
制作会社: Vale Film Productions