あらすじ
漁師として細々と生活する元ヤクザの三浦は、白い杖をついて歩く少年の幸太を見かける。両親をヤクザ絡みの交通事故で亡くした幸太は、彼を引き取った叔母やその交際相手からも虐待を受けていた。孤独な幸太にどこか自身の姿を重ねた三浦は、自身の船に幸太を誘う。どこにも居場所がなかった者同⼠、2人は年の差を超えた特別な友情を築いていく。幸太に視力回復の手術を受けさせるため、ヤクザから金を奪った三浦は、幸太に一通の手紙を残して自首する。12年後、突如として⾏⽅がわからなくなった三浦を捜していくうちに、幸太はある秘密を知る。
作品考察・見どころ
港町の静謐な情景を背景に、世代を超えた魂の交流が繊細な筆致で描かれています。舘ひろしが放つ圧倒的な包容力と、眞栄田郷敦の力強くも揺れ動く若さ、黒島結菜の透明感あふれる眼差しが共鳴し、画面からは言葉以上の感情が溢れ出しています。光と影が織りなす映像美は、迷える人々の心を優しく照らす灯台そのものです。
本作は、喪失を抱えながらも他者と響き合うことで見出す再生への希望を力強く提示します。不器用な優しさが重なり合う瞬間は、観る者の心に震えるような余韻を残し、ただそこに在ることの尊さを熱く問いかけます。混沌とした現代を生きる私たちの背中を静かに、しかし情熱的に押してくれる、至高の人間ドラマです。