デンマークの伝統を象徴する本作の真髄は、ボディル・ヨルゲンセンやニルス・オルセンといった名優たちが繰り出す、阿吽の呼吸による圧倒的なライブ感にあります。単なるコメディの枠を超え、演者たちの眼差し一つで観客の心を掴む至高の演技力は、スクリーン越しでもなお、劇場の特等席にいるかのような剥き出しの熱量となって押し寄せます。
社会風刺を家族全員で笑い飛ばせる極上のエンターテインメントへと昇華させた手腕も見事です。現代の複雑な世相を、軽妙なステップとウィットに富んだ対話で包み込み、日常の鬱屈を鮮やかなカタルシスへと変えるメッセージ性は、映画ならではの没入感によってさらなる輝きを放っています。今を生きるすべての人に、笑いと勇気を与える人間賛歌の傑作といえるでしょう。