政治的な転換期を舞台にしながらも、本作の真髄はイデオロギーの是非ではなく、移ろいゆく時代に翻弄される人間たちの滑稽さと愛おしさの描写にあります。アレッサンドロ・ベンヴェヌーティ監督は、冷徹な風刺と温かな眼差しを見事に共存させ、党のアイデンティティ崩壊という重厚な題材を、極上のアンサンブル・コメディへと見事に昇華させました。
特にアティナ・チェンチやマッシモ・ギーニら実力派キャストが見せる、信念と現実の狭間で揺れ動く繊細な芝居は圧巻です。言葉にできない時代の閉塞感や熱狂を、雄弁な沈黙と躍動感あふれる演出で切り取った本作は、組織の中で生きる我々すべてに自分は何者かを問い直させる、普遍的な輝きを放つ傑作といえるでしょう。