叔母の鏡子の誘いで祖母の遺品整理のために鳥白島にやってきた鷹原羽依里は、少年団の歓迎を受けて徐々に島になじんでいく。中でも駄菓子屋でバイトをしている少女・空門蒼と親しくなっていく羽依里。いつも眠そうにしている蒼だったが、島を守る巫女の一族である空門家には代々担っている特別な「お役目」があるという。そのお役目を手伝うことになった羽依里は、やがて蒼が内に秘めた、ある目的を知る。
この作品の真髄は、夏の気だるい湿度と幻想的な夜が織りなす圧倒的な情緒感にあります。闇に舞う蝶の輝きは失われゆく記憶の尊さを象徴し、観客の感性に深く訴えかけます。単なる青春劇に留まらず、忘却と救済という重厚なテーマが、研ぎ澄まされた映像演出によって一遍の叙事詩へと昇華されている点は実に見事です。 田中あいみ氏の演技は圧巻で、天真爛漫な振る舞いの裏側に潜む、痛切なまでの孤独を見事に体現しています。声の震えが物語の核心にある謎と響き合い、愛する者のために自己を捧げる決意の重さが胸を打ちます。濃縮された純愛と残酷な運命の対比は、観る者の心に一生消えない夏影を刻みつけることでしょう。
監督: 小林智樹
脚本: あおしまたかし / 大知慶一郎 / 山田靖智
制作会社: feel.