ローザ・フォン・プラウンハイムが放つ本作は、シェイクスピアの悲劇をキャンプな感性とアヴァンギャルドな色彩で解体した、過激な映像のオペラです。主演のマグダレーナ・モンテズマが見せる圧倒的な存在感は、権力への渇望を美しき狂気へと昇華させ、観る者をめくるめく倒錯の世界へと誘います。
原作の戯曲が持つ荘厳さをあえて剥ぎ取り、低予算のDIY精神とテレビ演劇特有の閉塞感を強調した演出は、権力の本質にある虚無を暴き出す映像ならではの試みです。舞台では不可能な密室的なカメラワークが、人間の内面に潜む醜悪な野心を、生々しくも耽美に描き出す唯一無二の傑作といえるでしょう。