巨大企業という壁に挑む個人の尊厳と、その執念がもたらす純粋さが本作の真髄です。グレッグ・キニアは、穏やかな発明家が自らの知性の証明を求める求道者へと変貌する様を、凄まじい熱量で体現しました。単なる権利争いを超え、自らの魂を守ろうとする男の眼差しは、観る者の倫理観を激しく揺さぶります。
独創性が搾取される冷徹な現実を描きつつ、本作は人間が失ってはならない正しさの価値を問いかけます。家族を犠牲にしてまで守り抜こうとした信念の先に何があるのか。静かな怒りが全編に漲る演出は、効率優先の現代社会に対する鋭い警鐘であり、一人の人間が成し遂げた奇跡への最上級の賛辞と言えるでしょう。