アルベルト・オルメドとホルヘ・ポルセルという、喜劇界の至宝が見せる絶妙な掛け合いが本作の白眉です。犯罪劇を借りつつも、二人の破壊的なアドリブ感と身体を張った笑いが、日常の閉塞感を鮮やかに突き崩します。モリア・カサンの圧倒的な存在感も相まって、混沌とした人間模様が濃密なエネルギーとなって観客を圧倒します。
底流にあるのは、社会の荒波を軽妙に生き抜く庶民の生命力です。失敗さえも笑い飛ばす彼らの姿は、私たちに「深刻になりすぎるな」という哲学的な勇気を与えてくれます。俳優陣の個性が火花を散らす映像表現のリズムは、まさにエンターテインメントの真髄と言えるでしょう。