このドキュメンタリーは、伝説的漫画家ウーゴ・プラットが創造した孤高の冒険者コルト・マルテゼという虚像と、作者自身の波乱に満ちた実人生を、幾重にも重なる生の軌跡として鮮やかに描き出しています。映像が捉えるのは、虚構と現実の境界を曖昧にする圧倒的な旅情と、世界に対する飽くなき好奇心です。
原作のグラフィック・ノベルが持つ詩的な余白に、映像ならではの音響や記録映像が融合することで、紙の上では表現しきれなかったプラットの魂の鼓動がより生々しく伝わってきます。静止画の美学に時間の流れを吹き込み、一人の表現者が抱いたロマン主義の極致を体感させる、まさに五感を刺激する映像叙事詩と言えるでしょう。