新宿という街が抱える混沌と、今は亡き新宿コマ劇場という聖域が放つ最後の残光を、これほどまでに官能的かつアナーキーに切り取った映像記録は他にありません。渚ようこが体現する昭和歌謡の情念と、若松孝二監督らが持ち込む前衛的な映画的パトスが火花を散らす様は、単なる歌謡ショーの枠を完全に超越しています。
特筆すべきは、虚構と現実が交錯する演出の妙です。山谷初男らの重厚な存在感が、舞台に地続きの新宿の地霊を呼び込み、鑑賞者を時代の裂け目へと誘います。失われゆくアンダーグラウンド文化への痛切な挽歌でありながら、観る者の血を沸き立たせる剥き出しの熱量に圧倒される、真に伝説的な一夜の記録です。