本作の真髄は、肉体を超えた魂の渇望を、女性監督ならではの繊細な筆致で描き切った点にある。吉行由実監督の演出は、不倫という背徳的な枠組みの中で、人間の根源的な孤独と承認への願いを鮮明に浮かび上がらせる。光と影を巧みに操る映像表現が、心の揺らぎを何よりも饒舌に語っている。
主演陣が見せる、心の空洞を埋めようとする切実な演技は圧巻だ。単なる官能の枠を超え、役割と真の自己の間で葛藤する女性のリアルな肖像がそこにある。観る者は、彼女たちの危うい選択の裏側にある「愛されたい」という痛切な叫びに触れ、自身の内なる孤独をも揺さぶられるだろう。情感豊かな余韻が心に深く刻まれる一作だ。