この作品の真髄は、究極の「何でもなさ」の中に潜む切なくも温かい人間賛歌にあります。オダギリジョーと三浦友和という不釣り合いな二人が東京を歩く姿は、可笑しさとともに観客の孤独を優しく包み込みます。路地裏での交流が疑似家族の絆へと昇華していく過程は、三木聡監督ならではの魔法のような演出です。
日常がこれほど愛おしいのは、彼らの歩みに終わりの予感が漂っているからでしょう。笑いの奥に潜む一抹の寂しさが、胸に深い余韻を残します。目的のない旅だからこそ見えてくる人生の豊かさ。都会の散歩道の先に、私たちは自分自身の居場所を再発見することになるはずです。