あらすじ
ヒロシと亜美は親の連れ子で、血のつながらない兄弟という間柄。ある日熱を出した亜美は、やさしく看病してくれる兄にたいして淡い恋心を抱いてしまう。
作品考察・見どころ
禁忌の愛に揺れる若者の孤独を、驚くほど叙情的に描き出した衝撃作です。映像全体に漂う白昼夢のような儚さと、許されない関係ゆえの痛切な渇望が、俳優たちの言葉以上に雄弁な視線や繊細な仕草によって表現されています。人間の内面に潜む純真さと残酷さが同居する、極めて純度の高い文芸的な佇まいが観る者の心を激しく揺さぶります。
特に生身の肉体が放つ体温と、それとは裏腹に冷たく静止したような日常風景とのコントラストが見事です。触れ合いたいという本能的な衝動と、社会的な境界線に引き裂かれる心の軋みが、映画特有の美しいライティングと構図によって一つの美学にまで昇華されています。観客の倫理観を突き動かし、現代的な孤独を鮮烈に刻みつける、映画表現の覚悟に満ちた一本です。