アーネスト・ボーグナインとリノ・ヴァンチュラという、米欧を代表する名優たちがぶつかり合う重厚な人間ドラマこそが本作の真髄です。暴力とユーモアが背中合わせの刑務所という閉鎖空間において、ボーグナインが放つ圧倒的な「王」としての威厳と、その裏に潜む人間臭い哀愁は、観る者の心を一瞬で鷲掴みにします。二人のカリスマが火花を散らす画面の緊張感は、まさに映画黄金時代の贅沢な輝きを放っています。
犯罪コメディの皮を被りながら、本作が真に描き出すのは、極限状態における人間の尊厳と権力の虚無性です。ナポリの湿り気を帯びた空気感の中で展開される奇妙な秩序と連帯感は、滑稽でありながらも不思議な気高さを感じさせます。スクリーンの隅々まで血が通った、泥臭くも情熱的な男たちの生き様は、現代の作品が忘れかけている泥臭いヒューマニズムを私たちに鮮烈に突きつけてくるのです。