本作の真髄は、宇津井健が体現する揺るぎない正義漢の矜持と、当時の大映が誇るスタイリッシュな映像美の完璧な融合にあります。特に水中シーンでの緊迫感あふれる演出は、未知の領域に挑む人間の根源的な好奇心を刺激し、単なる娯楽作を超えた幻想的な情緒を醸し出しています。
江波杏子が放つ、冷徹さと艶やかさが同居する唯一無二の存在感も見逃せません。高度経済成長期の熱気と、海底という静寂の世界が対比されることで、欲望に溺れる人間模様が鮮烈に浮き彫りにされます。技術的な制約を逆手に取った濃密な光と影の表現こそが、現代の作品にはない重厚な没入感を与えてくれるのです。