ジュリアン・プーランが体現するエルヴィス・グラットンという強烈なキャラクターは、単なるパロディを超えた凄まじい熱量を放っています。彼の過剰な演技は、理想と現実の狭間で揺れる人間の滑稽さと悲哀を見事に抽出し、観る者の脳裏に消えない違和感を焼き付けます。徹底した自己陶酔の裏側に透けて見えるのは、独自のアイデンティティを模索する現代人の切実な孤独です。
本作の真髄は、アメリカ文化に浸食された社会への鋭利な風刺にあります。ピエール・ファラルドー監督は、盲目的な消費主義を笑い飛ばしながら、文化的な隷属状態に対する強烈な批判を突きつけます。これほどまでに醜悪で、同時に愛おしい人間像を描き切ったコメディは他にありません。観客の価値観を根底から揺さぶる、魂の叫びが詰まった挑発的な傑作です。