あらすじ
「彼女たちの舞台」などで知られるヌーヴェル・バーグのJ・リヴェットが、15世紀フランスに実在した非運の英雄、ジャンヌ・ダルクの波乱に満ちた生涯を、前編の本作と、後半の「ジャンヌ/薔薇の十字架」の全編約四時間に及ぶスケールで描いた超大作。本編では神の啓示により、自らが王国を救う使命を帯びた存在であることを知った彼女が、王太子シャルルの信頼の下、オルレアンを解放するまでを描く。
尚、本編はオリジナルより約一時間短い二時間の短縮バージョンである。真の完全版は「ジャンヌ・ダルク/I戦闘 II牢獄」としてこの後に公開されている。
作品考察・見どころ
ジャック・リヴェット監督が描く本作の真髄は、伝説を神格化せず、一人の女性の意志として写実化した点にあります。泥にまみれ、重厚な鎧を纏って戦場を駆ける姿は、聖女というより自らの信念を貫く個の精神の現れです。余計な装飾を削ぎ落とした演出が、彼女の純粋な決意を凄まじい熱量で浮き彫りにしています。
主演のサンドリーヌ・ボネールが見せる、強い意志を秘めた眼差しは圧巻です。彼女の抑制された演技は、ジャンヌの抱く自由への渇望を言葉以上に雄弁に語ります。歴史の荒波の中で凛として立ち続けるその佇まいは、観る者の魂を震わせる「真実の生」を体現しており、中世の生々しい臨場感に誰もが心を奪われるはずです。