老博徒の枯れた哀愁と、若き女性の瑞々しさが交錯する刹那の美学。本作の白眉は、何と言っても橋爪功の静謐ながらも凄みを帯びた佇まいにあります。人生の秋を迎えた男の諦念と、ふとした瞬間に漏れ出る人間味が、秋風のように観る者の心を静かに、そして深く揺さぶります。
抑制の効いた演出が、言葉にならない情念や余韻を際立たせています。孤独を抱える魂同士が触れ合う瞬間の尊さを、卓越した映像美と繊細な間で見事に描き出しました。過ぎ去る季節への惜別と、それでも微かに灯る生への意志。その対比が、観了後も永く胸に刻まれる珠玉の一編です。