この作品の真骨頂は、日常的な情愛と予測不能なバイオレンスが火花を散らして交錯する、圧倒的な疾走感にあります。アクションとコメディという相反する要素が緻密な演出によって一つの芸術的なカオスへと昇華されており、観る者の既成概念を心地よく裏切り続けます。一瞬の隙もないテンポの良さは、純粋な映像体験としての喜びに満ち溢れています。
ニコール・アンダーソンらの熱演は、極限状態での滑稽さと切実さを同時に体現しており、その表現力に圧倒されます。混乱の中でこそ剥き出しになる愛の本質を、これほどまでに過激で爽快な筆致で描き出した視点は実に鋭い。視覚的な快楽とエモーショナルな余韻を両立させた、ジャンル映画の枠を超えた野心的な傑作と言えるでしょう。