本作は、美しくも禍々しいゴシック様式の世界観を、音楽という媒体で見事に昇華させた傑作です。ロジャー・ペラが魅せる、狂気と情熱の間で揺れ動く繊細な演技は観る者の魂を激しく揺さぶり、ロサ・ガリンドらとの重厚なアンサンブルが、心の奥底にある孤独や恐怖を鮮やかに描き出します。
人間の内面に潜む闇と、そこから生まれる創造性の美しさを追求した演出が秀逸です。映像美と旋律が織りなす圧倒的な没入感は、まさに映像作品でしか到達し得ない領域。光と影が交錯する迷宮のような世界観は、観客を深い思索へと誘い、一時も目を離させない魔力に満ちています。