この作品の真髄は、刺激的なタイトルとは裏腹に、人間の滑稽さを絶妙なバランスで描き出す喜劇性にあります。荒木太郎が醸し出す枯れた味わいとコミカルな間合いが、日常の閉塞感を軽やかな笑いへと昇華させています。狭い車内という空間を逆手に取り、視線の交差や身体表現のみで多層的なドラマを構築する演出には、映像の職人芸が光ります。
相原めぐみや池島ゆたからが織りなす、単なる風俗喜劇に留まらない濃密な人間模様も白眉です。抑圧された情念をあえてナンセンスな笑いに昇華する潔さは、観る者に奇妙な解放感を与えてくれます。人間の本能を真っ向から肯定し、生の活力を呼び覚ますエネルギッシュな映像体験がここに凝縮されています。