アーサー・シュニッツラーの傑作を映像化した本作は、死という逃れられない運命を前にした人間の剥き出しの利己心と、愛の崩壊を恐ろしいまでの静謐さで描き出しています。ハインツ・エーレンフロイントらの緊迫感溢れる演技は、観る者の心に、生への執着がもたらす残酷なまでの美しさを深く刻み込みます。
原作が持つ精緻な心理描写を、映像ならではの沈黙や視線の交錯へと昇華させた演出が白眉です。言葉では語り尽くせない絶望と渇望が、テレビ映画という親密なメディアを通じて、文学以上の生々しさを持って迫ってきます。極限状態における人間の本質を容赦なく突きつける、まさに魂を揺さぶる一作と言えるでしょう。