戦時下の極限状態における人間の本質を、過剰な美化を排して描き切った本作は、戦争という巨大なうねりの中に放り出された個人の「矮小さ」と「生への執着」を鋭く抉り出しています。ドラガン・ミリヴォイェヴィッチをはじめとする実力派キャストが、英雄ではない等身大の人間を泥臭く演じることで、観る者は単なる戦記物ではない濃密な人間ドラマの深淵に引きずり込まれるはずです。
タイトルの持つ皮肉めいた響きが示す通り、大義の裏側に潜む滑稽さや道徳的な揺らぎをあぶり出す演出が実に見事です。テレビ映画という枠組みを超えた映像表現は、沈黙や視線の交錯だけで戦争の残酷さを雄弁に物語り、真の恐怖とは派手な銃声ではなく、良心が少しずつ削り取られていく過程にあることを我々に鋭く突きつけます。