成瀬巳喜男監督が剥き出しの人間愛憎劇として描いた本作は、まさに魂を揺さぶる傑作です。京マチ子の野性味溢れる情熱と森雅之が体現する静かなる狂気の激突は、理屈を超えた肉親という逃れられない絆の深さを物語ります。画面越しに伝わる凄まじい熱量は、観る者の心に強烈な痕跡を残すでしょう。
血縁ゆえの愛憎が爆発する瞬間に立ち現れるのは、美醜を併せ持った究極の人間賛歌です。土俗的な力強さと繊細な心理描写を両立させた演出は、普遍的な孤独と救済を鮮やかに描き出しています。暴力的なまでの情念がモノクロームの光影の中で鮮烈に輝く、日本映画史に燦然と輝く情念の極致です。