本作の真髄は、高度経済成長期へと突き進む昭和三十年代の瑞々しい空気感と、若き日の田宮二郎が放つ圧倒的なモダン・センスにあります。従来の家庭像を軽やかに飛び越え、自立していく女性の姿をポップに描いた演出は、単なる娯楽作の枠に収まりません。田宮の洒脱な身のこなしと三木裕子の凛とした佇まいが、当時の新しい夫婦の在り方を鮮烈に印象づけています。
洗練されたセリフ回しとテンポの良い編集は、現代の観客にも驚くほど新鮮に響きます。大映が誇る職人技とも言える端正な映像美の中で、社会進出する女性とそれを見守る夫の葛藤を、軽妙かつ鋭く抉り出したメッセージ性は見事です。時代の先を行くセンスと、俳優陣の煌びやかな共演に酔いしれる、至高のシネマ・エッセンスがここに凝縮されています。