田宮二郎という不世出のスターが放つ、抗いがたい色香と虚無感が全編を支配しています。都会的なスマートさの裏側に潜む危うい熱量を、彼は鋭い視線一つで表現しきり、スリラーとしての緊張感を極限まで高めています。荒木一郎の特異な存在感との化学反応も、観る者を陶酔させる大きな見どころです。
鮮烈な光と影の演出は、欲望が渦巻く夜の迷宮を鮮やかに描き出し、単なる娯楽作を超えた芸術性を放っています。洗練されたスタイルとスリルが融合した本作は、華やかなステップの背後に忍び寄る破滅の予感を描き、人間の深淵を鋭く抉る、甘く危険な大人のための映像詩と言えるでしょう。