“それは、とびきりイカれた夢の話。”
とある港町の水産工場に勤めるハルオは東京湾に出現した幻の巨大イカを釣ることを夢見ている。そんな彼の前に叔父のたかしが現れるが、ある日たかしは山中で蛇に咬まれてあの世へ行ってしまう。
本作が描き出すのは、滑稽ながらも愛おしい中年男性たちの情熱と、日常の延長線上にある奇妙な桃源郷です。今岡信治監督特有のシュールなユーモアと切なさが共存し、エロティシズムを超えて孤独や欲求を肯定する優しさに満ちています。不器用な生を照らすその視点は、観る者の心に深く突き刺さります。 吉岡睦雄や下元史朗らが体現する男たちの悲哀と可笑しみは、本作の白眉です。人生の黄昏時に、ほんの一瞬の繋がりに「天国」を見出す姿は、残酷なまでに美しく、胸を打ちます。閉塞感漂う現実を生きるすべての人へ、泥臭くも輝かしい生を祝福する熱烈なエールを贈る、極上の人間讃歌です。
監督: 今岡信治
脚本: 守屋文雄
制作: 朝倉大介
撮影監督: 鈴木一博
制作会社: Kokuei Company