マイケル・ペイリンの真骨頂は、不条理な状況でも失われない「生真面目な演技」にあります。本作の魅力は、本格ホラー風の重厚な映像を保ちつつ、英国的なブラックユーモアを突き詰めた点にあります。緻密な演出がナンセンスな笑いのエッジを際立たせるという、映像表現ならではの鮮やかな対比が見事です。
根底にあるのは、伝統や抑圧に対する痛烈な風刺です。大真面目に狂気と向き合う人々の滑稽さは、人間の内面に潜む奇妙な執着を暴き出します。作り手のこだわりが細部に宿り、観る者を不気味な心地よさと爆笑へ引き込む、英国喜劇の神髄を凝縮した傑作といえるでしょう。