あらすじ
死が予定されている人の前に現われて相手を7日間観察した後、その死を“実行”にするか“見送り”にするかの判定を下す、死神の千葉。雨男の彼は今まで晴れた青空を眺めたためしがない。そんな彼の今回の観察相手となるのは、27歳の薄幸なOL、藤木一恵。ある電機メーカーで苦情処理係をする彼女は、最近あるクレーマーからの執拗な電話に悩まされていた。そんな彼女にほだされた千葉は、珍しく“見送り”の判定を下すが……。
作品考察・見どころ
金城武が演じる死神の、無機質でありながらどこか愛嬌のある佇まいが、本作の唯一無二の魅力を形作っています。死を宣告する側でありながら音楽を愛し、人間界の機微に戸惑う彼の視点は、鑑賞者に「生きることの愛おしさ」を新鮮な角度から再認識させます。降りしきる雨の冷たさと、そこに灯る人の心の温もりが織りなす映像美は、まさに詩的な情緒に満ちています。
物語が終盤へ向かうにつれ、運命の糸が美しく収束していく構成は圧巻です。小西真奈美の透明感ある演技や富司純子の圧倒的な包容力が、命の尊さを鮮やかに浮き彫りにします。死をテーマにしながらも、鑑賞後には晴れやかな空を仰ぎたくなるような、生への強烈な肯定と希望を感じさせる傑作です。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。