エジプト映画の黄金期を象徴する本作は、コメディと音楽が完璧な調和を奏でる至高のエンターテインメントです。稀代のコメディアン、モハメド・アワドが放つ軽妙なリズム感と、人気歌手モハメド・ロシュディの情緒豊かな歌声が交差する瞬間、スクリーンには多幸感溢れる魔法が宿ります。
単なる喜劇の枠を超え、複雑な人間関係の機微や家族の絆をエネルギッシュな演出で描き切る手腕は見事です。アマル・ファリードが放つ圧倒的な華やかさは、観客を当時のカイロの活気へと誘います。混沌とした状況さえも愛おしく変えてしまう、人生の美しさを肯定する熱いメッセージが込められた珠玉の一本です。