佐藤寿保監督らしい、生々しい肉体の官能と精神の崩壊が交錯する映像美が圧巻です。医療という清潔な空間で繰り広げられる、誰かが自分の中に深く潜り込んでくるような根源的な恐怖。それは単なるホラーの枠を超え、愛と支配の境界線が消失していくプロセスを、身を切るような痛みと共に鮮烈に描き出しています。
主演の麻田真夕が見せる、理性と狂気の狭間で激しく揺れ動く繊細な演技からは目が離せません。自己と他者の境界が曖昧になるという哲学的なテーマが、エロティックかつ不気味な演出によって見事に結晶化されています。観る者の深層心理を鋭く抉るような、痛切で濃厚な余韻を残す孤高の傑作と言えるでしょう。