あらすじ
都会を離れ、海辺の町で開業した歯科医と、できないことなど何もない"万能ニート"の青年。すべてにおいて正反対な2人は、何かにつけて衝突してばかりで...。
作品考察・見どころ
本作が放つ唯一無二の魅力は、平穏な日常が音もなく侵食されていく不気味な恐怖演出にあります。シリーズ特有のコメディを土台にしつつ、身近な人間が偽物へと摩り替わる心理的ホラーの筆致は、大人すら戦慄させる鋭さを持っています。歪んだ肉体の造形や微細な違和感を孕んだ仕草といった映像表現は、アニメーションだからこそ到達できた生理的な恐怖と美しさを鮮烈に両立させています。
物語の核心にあるのは、画一化への批評と、溢れ出す個の生命力です。中盤までの重苦しい緊張感を、サンバという圧倒的な熱狂で力技のように突き破る構成は圧巻の一言。矢島晶子らキャスト陣の熱演が、偽物には決して真似できない人間の根源的なパッションを泥臭くも華やかに描き出し、理屈を超えたカタルシスへと観る者を強烈に誘い込みます。