名匠・野村芳太郎監督と渥美清のコンビによる“拝啓”シリーズ3部作の最終章。人の良すぎる売れない漫才師・角丸が師匠の死に一念発起して上京するが、下働きばかり。そんな彼が幼なじみと再会したことからドラマが生まれる。
渥美清という稀代の役者が放つ、喜劇と悲劇が表裏一体となった圧倒的な人間力が本作の核心です。大スターの片鱗を見せつつも、ここでの彼はどこまでも泥臭く、純朴な市民の魂を体現しています。権威への無垢な問いかけが、滑稽でありながら胸を熱くさせるのは、彼の芝居に一切の嘘がないからです。 単なる政治風刺に留まらず、民衆の切実な願いを野村芳太郎監督は躍動感溢れる演出で描き出しました。笑いの裏に潜む孤独と、明日を信じる強靭な生命力が、時代を超えて観客の心に響きます。不条理を笑い飛ばすバイタリティに満ちた、真に豊かな人間賛歌です。
監督: 野村芳太郎
脚本: 野村芳太郎
音楽: 野村芳太郎
制作会社: Shochiku