ナポリの荒廃した巨大な廃墟を舞台に、レオナルド・ディ・コスタンツォ監督が描き出すのは、暴力の影に隠されたあまりにも美しく残酷な「空白の時間」です。朽ち果てた壁や生い茂る草木が、閉塞感と同時に奇妙な解放感を醸し出す映像美は、観る者の五感を揺さぶり、社会の辺境で生きる若者たちの孤独な魂を鮮烈に浮き彫りにします。
主演二人の剥き出しの存在感は圧巻で、台詞を超えた眼差しが、運命に抗えない絶望と、束の間の純真さを痛烈に訴えかけます。本作は犯罪映画という枠組みを借りながら、人間が人間であるために必要な「心の休息」の尊さを問いかけます。一瞬の輝きが未来を照らすのではなく、ただ静かに消えゆく美学に、映画という表現の真髄が宿っています。