あらすじ
新潟県長岡市に暮らす昔の恋人だった教師の片山から、生徒が創作した「まだ戦争には間に合う」という名の舞台と花火を見てほしいと手紙で伝えられた地方紙記者の玲子。その機会を生かし、彼女は東日本大震災の被災者を迅速に受け入れた同地の様子も見て回ることに。市内を旅する中で不思議な出来事と人々に次から次へと遭遇する玲子は、それらすべてが空襲や地震から立ち直ってきた長岡の歴史と密接にかかわってくることに気付く。やがて彼女の旅は、過去、現在、未来といった時間を超越したものへと変わっていく。
作品考察・見どころ
大林宣彦監督が放つ、目も眩むような映像の洪水に圧倒されます。長岡空襲と現代がシームレスに交錯する万華鏡のような演出は、映画でしか成し得ない時間の超越を体現しています。過去の悲劇を単なる記録ではなく、今を生きる私たちの血肉へと変えていく圧倒的なイマジネーションの力こそが、本作の真髄と言えるでしょう。
松雪泰子ら実力派が魅せる、演劇的でありながら魂の叫びを感じさせる演技も見事です。夜空に大輪の花が咲く瞬間、それは鎮魂の祈りから希望へと昇華されます。戦争の記憶を美で包み込み、平和への願いを爆発させる独自の映像言語は、観る者の心を揺さぶり、忘れがたい感動を刻みつける唯一無二の芸術体験です。