ルーマニア映画界の新たな息吹を感じさせる本作は、静謐な日常に突如として入り込む「不穏な違和感」を鋭利に描いています。ダナ・マリネチら実力派キャストが放つ、言葉の端々に潜む剥き出しの感情と、張り詰めた沈黙の応酬は圧巻です。観客は、平穏な生活の裏側で静かに、しかし確実に崩壊していく人間関係の断片を、冷徹な目撃者として突きつけられることになります。
タイトルの象徴する死のイメージは、登場人物たちが目を背けてきた欺瞞や停滞のメタファーとして機能し、観る者の倫理観を激しく揺さぶります。全編を貫く冷徹なまでに美しい映像美と、心理的な閉塞感を見事に視覚化した演出は、映像表現でしか到達し得ない深淵な孤独を浮き彫りにしています。一度観れば、その残酷なまでの誠実さに心を掴まれることは間違いありません。