かつて凄腕の陰陽師が蜘蛛の妖怪を1冊の本に封印してから、時は流れ現代の日本。その本を手にした古書店に、小さな少女の姿をした蜘蛛の妖怪が現れた。古書店の店長・硯とビルのオーナーの孫娘・瑞紀は、この妖怪を何とかすべく行動するが…?
本作の魅力は、無垢な愛らしさと異界の恐怖が共存する歪な調和にあります。プロダクションI.Gの美麗な作画は、日常に潜む怪異を鮮烈に描き出し、観る者を瞬時に引き込みます。金田朋子氏の幼さと不気味さが同居する熱演は、本能的な畏怖を抱かせ、画面から目が離せなくなる強烈な引力を放っています。 伝承を現代的に再解釈した物語は、人間と異類が相容れない境界の危うさを突きつけます。表層の可愛さに惑わされる人間の業と、冷徹な摂理が交錯する瞬間、観客は救いのない美しさに魅了されるでしょう。短編ながら心に深い澱を残す、この濃密な叙情性こそが本作の真髄です。
監督: 海谷敏久
脚本: 谷村大四郎
制作会社: Production I.G