本作の最大の魅力は、後に実力派俳優として大成する倉科カナの原石としての輝きが、圧倒的な透明感をもって刻まれている点にあります。カメラを見つめる彼女の瞳には、観る者の心を一瞬で掴む天性の華があります。眩しい笑顔と時折見せるアンニュイな表情の対比は、青春という季節の移ろいを見事に体現しており、観客の情緒を激しく揺さぶります。
演出面では、作為的な装飾を排し、彼女の自然体を引き出すことに徹した映像美が際立ちます。光の捉え方や波音の重なりが、彼女の息遣いをより身近に感じさせ、一つの詩的な映像作品のような風格を漂わせています。一人の少女がスターへと駆け上がる直前の、奇跡のような瞬間を永遠に封じ込めた、極めて純度の高いドキュメントといえるでしょう。