本作の最大の魅力は、ドキュメンタリーとフィクションの境界を鮮やかに無効化する、変幻自在な映像美と編集のテンポにあります。監督カルロス・マルコヴィッチが切り取るのは、ハバナとメキシコシティを舞台にした生々しくも幻想的な躍動です。ベニー・モレの音楽が脈打つ中で、二人の女性が自らのアイデンティティを模索する姿は、まるでジャズの即興演奏を見ているかのような知的興奮を観る者に与えます。
欠落した「父」という存在を巡る旅路は、単なる私的な追跡を超え、運命を切り拓く女性たちの力強い意志へと昇華されています。カメラが被写体の魂に深く入り込み、真実と演技が混ざり合う瞬間の煌めきは、映像という媒体でしか到達できない魔法のような美しさを放っています。人生の不確かさを肯定し、祝祭へと変えるその手法は、今なお色褪せない衝撃を放つ傑作と言えるでしょう。