あらすじ
ある南海の島。昆虫採集い来ていた混血青年、秋山は一機の飛行機が火を吹いて落下していくのを目撃した。その飛行機は水爆を搭載してベトナムへ向かう途中の米軍戦略爆撃機であった。機は1万メートルの高度で昆虫の大群に襲撃を受けて墜落したのだった。水爆回収のため「折れた矢」作戦が遂行された。捜索隊が島に上陸すると、彼らは顎の肉をえぐり取られて死に絶えた機長、副操縦士、そして、記憶を失ってしまった黒人兵、チャーリーを発見した。彼らの所持品を身につけた秋山は、殺人容疑で逮捕されてしまうのだが…。
作品考察・見どころ
本作は、六十年代の冷戦構造が生んだ極限の恐怖を、昆虫というミクロな存在を通じて描き出した異色のパニックホラーです。松竹映画特有の端正な映像美の中に、突如として紛れ込む生理的な不快感と狂気の演出が秀逸で、核兵器という巨大な暴力に抗えない人間の無力さを、容赦ない絶望感とともに突きつけてきます。
特に園井啓介や川津祐介が見せる、極限状態での焦燥感に満ちた演技は、単なる特撮映画の枠を超えた人間ドラマの深みを与えています。自然界の逆襲という普遍的なテーマは現代においてもなお鋭い警鐘を鳴らしており、視覚的な衝撃だけでなく、鑑賞者の倫理観を激しく揺さぶる一作と言えるでしょう。