力道山という不世出のスターが放つ圧倒的な存在感と、戦時下の規律を笑いで包み込む大胆なアプローチが本作の白眉です。軍隊という厳格な世界で、彼の屈強な肉体から零れ落ちる純情さや不器用な人間味は、観る者の心を激しく揺さぶります。力強さとユーモアが同居する特異なリズムは、彼のカリスマ性があってこそ成立した奇跡的なバランスです。
過酷な状況下でも失われない人間の尊厳を、軽妙な演出で描き出している点に感銘を覚えます。進藤英太郎ら名優との掛け合いにより、笑いのなかに温かな絆が滲み、作品に重奏的な深みを与えています。どんな苦境でも前を向く人間の根源的な生命力を謳歌する、熱量あふれる傑作です。