本作の真骨頂は、原健策が放つ殺陣のキレと、モノクロームの画面を切り裂くような動的構図にあります。黎明期の時代劇アクションが持つ荒々しくも高潔なエネルギーが凝縮されており、飛騨の自然を背景にした緊迫の演出は圧巻です。河部五郎や香川良介ら名優が放つ重厚な空気感が、剣戟の激しさを一層際立たせています。
正義と野望が交錯する人間模様を、渦潮という象徴的なモチーフで描く美学も秀逸です。謎めいた城が誘う心理的スリルと、光と影のコントラストが銀幕特有の幻想的な深淵を創り出しています。当時の熱量が刻まれた映像美は、活劇の魂を現代の我々に強烈に突きつけてくる、まさに珠玉の一編と言えるでしょう。