本作の真骨頂は、虚構と現実の境界を完全に消し去るメタ・コメディとしての洗練された構成にあります。かつての伝説的ドキュメンタリーが「虚偽」であったと訴えるバンド側と、己の正当性を主張する監督の対立構造は、単なるパロディを超え、メディアが切り取る「真実」の脆さを鋭く風刺しています。
キャスト陣が数十年の時を経てもなお、一瞬の淀みもなく役柄になりきる姿には圧倒されます。創作物に対するエゴと愛着が複雑に絡み合うその滑稽な熱量は、観る者に「神話がいかにして作られるか」という本質的な問いを投げかけます。徹底した諧謔精神が宿る、映像表現の極致と言えるでしょう。